2026年度診療報酬改定の本体改定率がプラス3.09%で決着したことを受け、有識者の受け止めを聞いた。CBnewsマネジメントで「データで読み解く病院経営」を連載するメディチュア代表取締役の渡辺優氏は、大幅引き上げとなった今回の改定率でも「医療機関が安定的に経営できる状況には全くならない」と厳しい見方を示した。【聞き手/渕本稔】
従来から比べると高い水準の改定率となったが、物価や人件費の高騰が続く現状を踏まえると、医療機関の経営状況が大きく改善するとは到底考えられない。
25年度補正予算では、大規模な支援策が講じられた。ただし、これまでに積み上がった多額の赤字を埋め合わせるには全く不十分だ。実感としては、全体の赤字の2-3割程度を補填できるにすぎない。
特に地方では少子化がさらに進行し、人材確保は一段と困難になる。26年度に本体改定率が3.09%引き上げられたとしても、こうした厳しい環境にある医療機関が安定的に経営できるようになるとは決して言えない。
今回の改定では医療機関の機能別に、これまで以上にめりはりの利いた改定内容になるだろう。高度急性期や急性期など特に経営悪化が深刻な医療機関に対しては、大幅な支援が行われることを期待したい。
一方、診療所への配分を全国一律で抑制することには強い懸念がある。医師の高齢化に伴い、事業承継ができなかったり、廃業したりする診療所が増えており、かかりつけ医機能の提供が難しくなっている地域も少なからずあると認識している。地域医療を支えている診療所にとって厳しい改定となれば、その影響は地域住民に直接跳ね返る。
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